料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

3人分クッキング

アパートでルームシェアをしている3人が、お金を節約するために自炊しようという作品です。といっても料理をするのはそのうちの1人だけなんですが。
節約しようという視点なので、1食あたり1人150円弱とおやすい! でも美味しそう!

特筆すべきは調理の際に包丁を使わないということでしょうか。調理担当のまどりは「まな板置く場所ないので今回はキッチン鋏でいきます」と言っているんですが、気がついたら毎回手でちぎったりキッチン鋏を使ったりで、全12回中1回しか包丁を使っていません。長ネギのみじん切りもキッチン鋏でいけるんですねえ。
後書きには「包丁使わない→まな板使わない→洗い物少ない→気が楽」とあって、なるほどと思いました。

そんな風に書いていると、ちょっといい加減な料理しか出てこないと思われる方もいるかもしれませんがそうではありません。小まめに出てくるTIPSもしっかり理論的なことを書いているし(例えば「小麦の溶け込んだ茹で汁には脂と水分が混ざり合う「乳化」を手伝う作用があります、など)どれもしっかりとした料理です。

包丁を使わない分お手軽で気が楽で、楽しそうに料理をしているので、料理したくなる作品ですね。

2013年12月27日発売

3人分クッキング (IDコミックス REXコミックス)

3人分クッキング (IDコミックス REXコミックス)

花と奥たん 2巻

高橋しん先生の料理漫画2巻目です。1巻が2009年発売ですから、4年ぶりの新刊ですね。いやー、待ちました。待ったかいがありました!

このお話は、ファンタジーというかSFというか。世界は近未来の日本なのですが、あるとき急に東京が巨大な花に覆われてしまいます。もうそのときに東京にいた人は生存が絶望視されています。でも、東京近郊の人は、中でまだ生きていると信じて、避難命令が出ている家に残り、待ち続けるのです。そんな「残され主婦」の奥たんが、旦那たんがある日東京から帰ってくるのを待ちながら毎日旦那たんのご飯を作り、野菜を作り、米を作り、バッタと戦い、孤独と戦う。そんな毎日を描いた作品です。

というわけで、かなりハードボイルドな設定の料理漫画なのですね。近所の同じような「残され主婦」の人達も、ひとり、またひとりと耐えられずに田舎へ帰っていったりしてしまいます。でも奥たんは前向きに、旦那たんを信じて生きていくのです。

作中では東京の巨大花の影響か、奥たんが育てたりする野菜がすごく巨大になってしまったりしているのですが、各話ごとに載っているレシピは普通の野菜とかで大丈夫です。料理は実際に高橋しん先生が作って食べてみたものとのこと。いやー、これがまた美味しそうなんですよ。でも、物語の語り手が奥たんが飼っているミニウサギのPたんなので、レシピページの説明もふわふわした曖昧なものになっていたりします。例えばこんな感じです。

ミネス…と?…ロー……長くてよく覚えていないのです!!

 パンチェッタを2cmくらいの長さに切りました。ズッキーニ、
セロリ、にんじん、パプリカも愛情込めて小さくカットよろしくお願いしますよ!
玉ネギはウサギに毒なので憎しみ深く粗く!みじん切りに。

きちんと順番に読めば料理ができあがるのですが、ちょっとレシピとしては斬新なスタイルですよね。

この本は、是非ブックカバー派の人もブックカバーを外して読んで欲しいです。それぐらい、表紙が凝っています。エンボス加工の美しさ。そしてカラーページの豊富さ。作中にもカラーページはたくさん出てきますし、レシピページはカラーで、イラストや写真がふんだんに使われています。細部にまで気を配った造本なのですね。

ほんわかした日常生活の料理漫画でありながら、「生きる」ということはどういうことなのか真剣に考えさせる、ハードな世界観が見事に融合した作品です。願わくば早く続きが出てくれるといいんですが、とても膨大な時間をかけて作っているとのことで、気長にまた何年でも待つことにします。

2013年3月29日発売

花と奥たん 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

花と奥たん 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)


花と奥たん 1 (ビッグコミックススペシャル)

花と奥たん 1 (ビッグコミックススペシャル)

アントルメティエ 3巻

グランドジャンプで連載中のスイーツ漫画の3巻目です。2巻の時の記事はこちらです。
アントルメティエ2巻
で、僕的料理漫画大賞2013では28位に推していました。
僕的料理漫画大賞2013(1位から56位まで)

3巻は、主人公かのこと先輩である東宮(イケメンの凄腕パティシエ通称『スイーツヘヴン』の一人)とで、アシェットデセール(皿盛りのデザートという意味のフランス語)勝負をするところから始まります。正統派なデセールをきっちりと作り上げる東宮に対し、斬新で独創的なアイデアのかのこ。果たして勝負の軍配は……? そして、アシェットデセールの専門店がいよいよオープン。さまざまなお客さんがやってきます。「リクエストしたデザートを目の前で作る」というコンセプトのお店には、色々な悩みを持ったお客さんがやってきます。かのこと東宮は、お客様の悩みをデザートで解決するのでした。

そう、この巻の後半からは「お店にトラブルをかかえたお客さんが来る」→「デザートで解決!」という、ある意味最も正しい料理漫画のスタイルに落ち着いているのですね。安心して読めます。素晴らしい! なので実は、2巻までの感想で言っていた「専門用語が多すぎる」というのも今回は全然気になりませんでした。難しい言葉はアシェットデセールぐらいだと思います。

というわけで、こういうスタイルの料理漫画が好きな人(もちろん僕は大好きです!)はこの機会に3巻まで一気に集めてしまうのもいいかと。4巻はいよいよパティシエのワールドカップである「クープ・デュ・モンド」編が始まるっぽいので、対戦スタイルが好きな方も4巻が出るまでに予習をしておきましょう!

2013年4月19日発売

アントルメティエ 3 (ヤングジャンプコミックス)

アントルメティエ 3 (ヤングジャンプコミックス)

リア充ごはん

「俺…この本を読んだらリア充になるんだ…」

という帯コピーが印象的な本。元々はコミケでCOSMIC FORGEさんから発売された同人誌になります。実は僕も食系の同人誌は醤油手帖というのをやっておりまして、もちろんリア充ごはんも買わせていただいておりました。商業出版はすごい!

ちなみにこの本は厳密に言うと料理漫画ではありません。一応漫画は巻末に8ページほど載っているのですが、大半はレシピになっています。ディナーが8品、ブランチが10品、おつまみ系が6品の全24レシピですね。それぞれのテーマごとにヒロインがいて、レシピの合間に素敵なイラストが入っていたりします。

レシピは写真入りで手順を詳細に説明しています。ちょっとだけ要望があるとしたら、超初心者向けをうたっているので、できれば盛りつけ方まで写真で載せてくれたら良かったかなーというところでしょうか。簡単に「器に盛りつけたら完成!」とあっても、料理の超初心者って意外と盛りつけがうまくできないと思うのです(これは僕だけかもしれませんが)。なので、リア充っぽく見えるようにするのだったら、そこのところも載せておいてくれたらなーとか思っちゃったりしたのでした。

2013年3月29日発売

リア充ごはん

リア充ごはん

おうちでごはん 6巻

食べるのも作るのも大好きな男子学生カモくんが色々と料理をする漫画の6巻ですね。今回はバイトに持っていくお弁当が出てきたりします。弁当男子! あとさりげに最後の2話は番外編として、中世編となっています。いつもの面子がそっくりお城に移って(もちろんカモくんが料理長)わいわいとカモくんの料理を食べています。

今回注目するポイントは、はしばみさん&しょうこちゃんとカモくんの関係でしょうか。ちょっと進んだような、全然進んでないような……まあ、それもカモくんらしいということで。

ちなみにレシピはしっかりと載っているのではなく、台詞の中で示されています。例えば「牛豚合いびき肉200g 柔らかくするために鶏ひき肉100gも入れてみよう。塩小さじ1/2こしょうナツメグ少々」みたいな感じの台詞があるのですね。なのでしっかりとしたレシピというよりは料理ができる人向けのレシピという感じです。実際、作中でも「分量は?」と聞かれて「目分量!」と答えるシーンもありますし。

まあ、この漫画の真価はやっぱり料理の細かいレシピではなく(もちろんとても美味しそうなのですが)料理をするのが楽しい!! 食べるのが楽しい!! というところですね。読んで料理をしたくなる度はかなり高いです。この雰囲気を見事に再現したドラマCDもあったりしますよ(もちろん持っています)。というわけで、この作品が大好きなのです。

2013年3月27日発売


おうちでごはん-Voice of Mealtime-

おうちでごはん-Voice of Mealtime-

ちなみに僕的料理漫画大賞2013(1位から56位まで) - 料理漫画を研究してますでは15位になっていますね。

食戟のソーマ 1巻

週刊少年ジャンプで大好評連載中の料理漫画の1巻が出ました。元々はジャンプNEXT 2012年SPRINGに読み切りが掲載され、それが好評だったので連載となった作品です。余談ですが、ちょっと前まではジャンプに「食戟のソーマ」、マガジンに「タカラの膳」、サンデーに「司の一貫」と四大少年誌のうち三誌に料理漫画が載っていたのですが、今は司の一貫がクラブサンデーに移ったので二誌になっていますね。四誌全てに料理漫画が載る時代は来るのでしょうか。

それはさておき。主人公の幸平創真は食事処ゆきひらでいつも創作料理を造り、父親である幸平城一郎と対決しています(現在489連敗中)。それが、城一郎がニューヨークに招かれたのを機にお店を2〜3年休み、創真は料理学校に修行に出されることになります。軽い気持ちで行った創真の目の前にあったのは遠月茶寮料理学園。日本屈指の料理学校にして卒業到達率10%以下の超絶エリート校だったのでした。いま、学校を舞台に創真の戦いが始まる……! という感じのお話ですね。おあがりよ!

話題になったのは、ずばり料理のリアクションでしょう。なんというか、やたらと脱ぎます。(男も女も)お色気いっぱい! まあおそらくメインヒロインになるであろう、薙切えりなは料理をイメージでとらえるという特技があるのでそういうシーンが多いのもある意味納得がいくのですが、他のキャラものきなみそうだという……あ、ちなみに連載時から比べると本編のお色気的な意味での加筆修正はありませんでした。その代わり番外編として第一話でげそを食べさせられていた女の子(倉瀬さんという名前も番外編で判明)側の日記という形でげそシーンがもう一度描かれています。ただしこの番外編はトーン無しですね。

そうそう。料理漫画なので料理についても語りましょう。4話まではおそらく原作の附田祐斗先生のオリジナルレシピなのですが、5話から料理協力に「美人すぎる料理研究家」の森崎友紀先生が加わっています。なので、だんだんと料理がパワーアップしている今後には期待したいですね。1巻では3話に出てきたふりかけのレシピ(なんとここでは附田祐斗先生のラフが!)が掲載されております。

色々な意味で注目を集めている本作。1巻は話題になったNEXTの読み切りも載っていますし、大変お買い得ですね。とりあえず本格料理バトルが始まる2巻の発売が今から楽しみです。

御粗末!

2013年4月4日発売

食戟のソーマ 1 (ジャンプコミックス)

食戟のソーマ 1 (ジャンプコミックス)

クッキングパパ 123巻

「料理って楽しいんですよー!!」

COOKPADとレシピコラボをしたり、モーニング掲載のレシピの砂糖と塩の分量を間違えてしまったり(はてぶニュースより)と何かと話題に事欠かないクッキングパパは123巻。今巻掲載の最後の話はCOOK.1197です。1200話がもう目の前ですね。相変わらず安定の面白さです。いつ読んでも安心できますね。

今回は種子島ちゃんとその後輩工藤くんのお話が中心です。どうやら次巻に話は持ち越しのようで、こちらも楽しみですね。ちなみにクッキングパパ世界は、現実世界の2年で1年が経過しています。

さらにおまけページの「パパタン」では福岡は中州の名店「ケルン」を紹介。来週に九州にいくのでちょっと行ってみたいとは思いつつ、ちょーっと敷居が高いかなあ……

2013年3月22日発売

クッキングパパ(123) (モーニング KC)

クッキングパパ(123) (モーニング KC)