料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

日日べんとう

デザイン事務所に勤める主人公「谷 黄理子」のお弁当とか恋とか家庭の事情にまつわるお話。面白いのは、物語の進行役(ナレーション)を、黄理ちゃんのお弁当箱である「わっぱ」がやっているということ。お弁当視点で見た進行役という感じですね。あれです。20年も愛着を持って使い続けると魂が宿る的な。

黄理ちゃんは訳あって禅寺で育てられたので、非常にご飯のセレクトも渋いです。タイトルの「日日(にちにち)べんとう」も、禅の言葉「日日是好日」からきているのですね。

なるほどと思ったのが、禅寺での里親方丈爺(方丈はちなみに禅寺住職の尊称)が幼い黄理ちゃんに諭す言葉でして。手の平で器を作らせて、言うのです。

「いいかい黄理子。その手の中に入る分がおまえの一回分の食事の量の目安じゃ。世の中カロリー計算なんてもんが目安になっておるようじゃが食事は元々生きた物。重さもあるし、心もある。性格のように胃袋もみーんなちがう。おまえの体はおまえのことを誰よりも知っておる。」

という部分です。なるほどなあ。これも禅宗の考え方なのでしょうか。

元々読み切りで2話掲載し、好評だったので連載になったという作品です。掲載誌はオフィスユーですね。美食の時間が終わって料理漫画は掲載されないのかなーと思っていたのですが、この作品が始まって良かったです。

連載が本格的に始まったのが3話からなので、全4話からなる1巻が恋の行方とか家庭の事情の進展の他に、仕事絡みの黒い影が見え隠れしているところでちょうど終わったので、続きが気になります。2巻は四ヶ月後ぐらいかなー

2012年12月25日発売

日日べんとう 1 (オフィスユーコミックス)

日日べんとう 1 (オフィスユーコミックス)