読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

山岡さんっていつ結婚したんですか?子供もいるし![INTERVIEWS記事]

THE INTERVIEWSが終わってしまうということで、しばらくINTERVIEWSで答えた料理漫画関連の記事をこちらに移行します。昔読んでくださった方も、初めて読む方も、お楽しみいただけたらと!


美味しんぼ (47) (ビッグコミックス)

美味しんぼ (47) (ビッグコミックス)

Q. 山岡さんっていつ結婚したんですか?子供もいるし!

いい質問ですね! せっかくなんで、美味しんぼの世界をそういった人間関係的にわかりやすく解説していきましょう。料理関係のネタばらしは一切ないのですが、人間関係はネタバレしまくりなのでそういうのが苦手な方は読まないでくださいね。

まず、山岡さんと栗田さんの出会い。これはもうみなさんご存じの通り1巻第1話です。筋金入りのグータラ駄目社員と新入社員教育を完了したばかりの栗田さん。二人の出会いは徹夜明けの山岡さんを栗田さんが目撃するところから始まるという、割と最悪な感じでした。

そして伝説の豆腐と水による味覚テストを経て、2人は会社に業務命令でコンビを組まされます。そしてここから美味しんぼが始まるのですね。

昔の山岡さんは今の丸くなった姿からは想像できないようなグータラ駄目社員です。気にくわなかったらどなりつけるとか余裕でやります。無精ひげも生やしているし、耳には赤鉛筆をさし、常に競馬新聞を持っています。料理がらみで活躍して栗田さんに見直されることがあっても、それが好意につながるということはこの時点では皆無だったと言ってもいいでしょう。

美味しんぼ世界の中で最初の恋愛沙汰は文化部の花村さんです。3巻の5話に収録されている「醤油の神秘」において、雪山で命を助けられた青年に一目惚れ。手がかりはそのときにもらったおせんべいだけ……その件を解決し、花村さんは無事にその青年と再会することができ、つきあい始めます。

栗田さんが山岡さんを意識するきっかけは4巻の5話「食卓の広がり」でしょうか。山岡さんの元同僚で寿退社した女性が文化部に遊びにきて、そのときに彼女が昔山岡さんを好きだったということを知って「山岡さんを好きだった女の人がいたなんて……」と、ショックを受けます。

さらに5巻の7話「サラダと美容」において、ラブコメの定番中の定番であるお見合いイベントが発生します。ただし、お見合いをするのは山岡さんです。いつもの大原社主の横暴で山岡さんがお見合いをすることになったのですが、それを知った栗田さんはそれはもう不機嫌になったのでした。

そして同じく5巻の8話「もてなしの心」において、山岡さんは海原雄山に決定的にうちのめされます。そして、今以上に究極のメニューにうちこむため、ここまで片時も離さなかった競馬新聞を手放し、競馬断ちをするのです。その真摯な姿を見て、栗田さん側の好意はほぼ確定的になっていくのでした。

さて、山岡さん栗田さんはその後はつかず離れずの関係なのですが、他の人に動きがでます。中松警部……は申し訳ないけど省略して。文化部の取材にきたカメラマンの荒川さんが田畑さんに一目惚れをします。7巻5話「手先の美」ですね。さらには11巻6話「フォン・ド・ヴォー」において花村さんは三谷さんと結婚式を挙げます。

さて、15巻第1話「究極VS至高」で海原雄山の至高のメニューが動き出します。なのでここからは料理対決色が全面に出てきて色恋関係はなかなか進みません。そんな中、栗田さんを口説こうとする男性が登場してきます。まず1人目の刺客は多山財閥の御曹司。19巻「食は三代?」で登場します。料理評論家と組んで罠をしかけ、山岡さんに味覚勝負を挑みます。栗田さんの目の前で山岡さんを倒せば、栗田さんが自分になびくと思ったのですね。ですがこれは惨敗。栗田さんはあっさり多山さんをふってしまいます。

そして油断をしていると、山岡さん側にも刺客が。そう、二木まり子さんです。二都銀行の会長の孫にして二都銀行頭取の娘さんです。21巻3話「新しい企画」からレギュラーキャラクターとして入ってくるのですね。そして初登場時から山岡さんにすり寄る二木さんを見て、栗田さんは毎回複雑な表情をするのです。

そして栗田さんに対する2人目の刺客、カメラマンの近城さんはこの二木さんの企画に参加する形で登場します。21巻5話「挑戦精神」からですね。そして近城さんは栗田さんに、二木さんは山岡さんに接近するという構図ができあがるわけです。

そしてしばらくはおじいさんも絡めての二木一族による山岡さんへのアプローチ、栗田さんがそれに嫉妬する、みたいな構図で進みます。そんな中、27巻2話「究極の披露宴」にて、荒川さんと田畑さんが結婚式を挙げます。結婚式がそのまま究極のメニューと至高のメニューの対決になったのですね。以後、結婚式=究極のメニューの披露会という図式ができあがります。

そして、栗田さんに対する最後の刺客、団社長が登場します。29巻7話「「究極」の弱点」です。ここから、栗田さんに対して団社長と近城さんがアプローチをかけ、山岡さんに対して二木さんがアプローチをかけ、栗田さんと山岡さんはお互いを何となく気にしているという図式ができあがるのです。

団社長の猛烈なアプローチ、そして周囲(三谷夫人と荒川夫人)のそれの後押しによって、団社長とご飯を食べに行ったりする機会が増えた栗田さん。そんな栗田さんを見て山岡さんは「変だなあ……どうしたんだろう……胸がうずく……」と自分の気持ちを自覚するのです。そして、至高のメニューとの対決で究極側が負けたときに「君は俺と二木さんのことを誤解……」「山岡さんは私と団さんのことを誤解……」とお互いに言い合い、誤解が解け、仲が急速に接近していくことになります。(30巻)

ですが、二人の仲がこれ以上進展するには重い問題がありました。それは山岡さんの心の傷です。山岡さんは海原雄山が身勝手な暴君で、母親をさんざんひどい目に遭わせていじめ殺したと信じているのです。そして、自分の育った家庭を、海原雄山が自分の芸術のために周りの人を塵芥のように扱う、地獄のような家庭だったと思っているのです。そんな両親を見て、結婚だけはすまいと頑なに思っていたのでした。

そんなトラウマを吐露したことがきっかけで、近城さんが栗田さんにアプローチをかけるのを応援する立場になった山岡さん(33巻1話「春の息吹」)。近城さんも団社長という強力な対抗馬が出てきて焦ってきたのですね。そして近城さんは二木さんとも同盟を組みます。二木さんの山岡さんへのアプローチに協力する代わりに自分の栗田さんへのアプローチを応援しろと言うのですね。近城さん、策士です(33巻3話「魅惑の大陸」)。

で、それぞれがそれぞれの思惑のもとに動き、山岡さんも一応頑張っているものの、山岡さんと栗田さんの仲が良くなるという展開が続きます。さらに、近城さんと二木さんの仲も接近してくるというおまけつき。そして色々とあって、山岡さんは自分の気持ちをはっきり自覚するようになり、41巻3話「失恋気分」で近城さんに協力はもうやめたと宣言をするのです。その派生で、近城さんと二木さんも自分達の気持ちにだんだんと気づき、距離が近づいていきます。

そうやって山岡さんと栗田さんの距離が近づいたのですが、42巻3話「恋とお汁粉」にて団社長と近城さんがそれぞれ栗田さんにプロポーズをするのです。栗田さんはその申し出を保留にするのですが、それを知った山岡さんは酒に溺れていきます。山岡さんは結婚に対して禍々しいイメージを持っているため、栗田さんに結婚を申し込めない、でも他の人にプロポーズされて気になる、という、どこにも気持ちのもっていき方が無くてお酒に溺れるというわけです。その後「愛ある朝食」での朝食対決を経て、両親に対する誤解が徐々に解けてきて、43巻「過去との決別」でとうとうトラウマを振り払い、栗田さんにプロポーズをするのです!

そして二人は婚約をし、色々と新生活のための準備を進め、海原雄山からも暫定的に許可を得て、結婚式の準備を進めていきます。46巻3話「究極の新居」で新しく住むところも決まり、結婚式が究極のメニュー&至高のメニューの発表会になることも決まり、さらには近城さん&二木さんとの合同結婚式になることも決まりました。これは実は、山岡さんが結婚式に呼びたくない海原雄山を結婚式に引っ張り出すために、至高のメニューの発表会も兼ねるという企みからだったりします。

そしてとうとう47巻3話「結婚披露宴」にて、二人が結婚するのです! 47巻の発売が1994年10月で、1巻が1985年1月ですから、約10年かけて結婚したことになるのですね。

というわけで、いつという質問に対する答えは47巻です。今から実に17年前に結婚したということになります。

↓これが結婚式の回が収録されている巻です。

美味しんぼ(47) (ビッグコミックス)

美味しんぼ(47) (ビッグコミックス)