料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

せっかくなんで栗田さんの出産の話も教えてください。[INTERVIEWS記事]

美味しんぼ(75) (ビッグコミックス)

美味しんぼ(75) (ビッグコミックス)

Q. せっかくなんで栗田さんの出産の話も教えてください。

せっかくなので答えましょう。美味しんぼの世界においても、子供が生まれるということは現実と同じく一大事です。また、女性にとって重大な「つわり」時に何を食べるかという問題が出てくるのですね。

そういうつわり話で一番最初に出てくるのは、文化部三人娘の1人である三谷夫人(旧姓花村さん)が26巻2話「おめでたい病気」においておめでたが発覚し、つわりを経験します。砂糖水とすまし汁ぐらいしか食べられなくなっていた三谷さんに何かを食べさせようと山岡さんが知恵を絞るのです。

さて、栗田さんの話をしていきましょう。栗田さんは47巻で結婚いたしました。そのときに一緒に結婚したのが近城さんと二木さんであるということは、以前のインタビューでもお答えしたかと思います。

山岡さんっていつ結婚したんですか?子供もいるし![INTERVIEWS記事] - 料理漫画を研究してます

そして、62巻で中松警部、大石警部、快楽亭ブラックさんの3人も結婚式をあげていることも説明させていただきました。

山岡さんっていつ結婚したんですか?子供もいるし![INTERVIEWS記事] - 料理漫画を研究してます

ここに団社長夫妻を加えて、6組の夫婦のお話が密接に絡み合っているというのが栗田さんの出産話になります。おそらく最初は文化部三人娘で結婚や出産をまとめようとしたのですが、山岡さんと栗田さんの結婚が思ったよりも先になってしまったので、これらの夫婦とお話を絡めていくようにしたのではないでしょうか。なので、これらの夫婦の動向も交えながら説明していきましょう。あ、ちなみにわかりやすさを優先するため、栗田さんのことは山岡夫人やゆう子さんではなく、旧姓である栗田さんと表記させていただきます。

まず、最初に栗田さんの妊娠騒動がおこります。51巻1話「疑わしい日」です。朝食を食べているとき、栗田さんがどうも気持ちが悪く吐き気がするといい、病院に行くために会社を休みます。そこで山岡さんだけが出勤するのですが、打ち合わせの最中に急に「あれはつわりだったのかも!」と思い至って「子供ができた!」と叫ぶのです。まあでもそれは山岡さんの早合点だったのでした。でも、引きもひどいんですよ。栗田さんが「病院で言われたの。『おめでとうございます』って……」と言い、山岡さんが「ああ……俺たちにあかちゃんができた……」と心底うれしそうな顔で言って次週。そして、翌週の冒頭で妊娠を否定。美味しんぼファンのかなりの人がずっこけたことでしょう。ちなみに海原雄山先生も同じような勘違いをして狼狽し、こんなところでうろうろしないで休め! と怒っています。栗田さんが魔性の女過ぎることはこの件でも明らかでしょう。

そんなフェイクなネタじゃなく本当のおめでたネタは53巻5話「鏡餅の教訓」です。二木さん(近城夫人)がおめでたです。ある日、近城さんは山岡さんに、二木さんは栗田さんに深刻な相談をもちかけます。それは、お互いパートナーに誰か他に好きな人ができたんじゃないかというものです。結局は誤解だったのですが、そういう話になったのは、実は二木さんが病院に行ったら妊娠が発覚して、近城さんの心を確かめたくて言った一言が全ての発端だったのでした。女性って怖いですね。

そんな二木さんが最初に出産を経験いたします。58巻6話「二木家の離乳食」です。近城さんは子供が生まれたのがうれしいあまり、東西新聞文化部に爆竹を投げ込みます。なんでつかまらないんでしょうこの人。それはさておき、名門二木家の一員としてふさわしい名前をつけられるよう高名な占い師や命名の権威に、子供の名前をつけられそうになって反発する近城さん。一時は離婚だ! と騒ぐけれども、ダイナマイトを腹に巻いて二木家に乗り込んでまり子(近城夫人の二木さん)と赤ん坊を奪い返してやる! と息巻いていたりします。結局は二木さんが、子供が自分の名前の意味を聞いてきたときに責任を持って答えたい! と訴えてこの問題は解決するのです。


ちなみにここで、岡星さん夫妻にもおめでたが発覚します。59巻2話「対決再開! オーストラリア」ですね。61巻7話「辰さんの贈り物」では、山岡さん達に岡星を紹介した浮浪者の辰さんから冬美さんへの安産祈願の贈り物を贈るなど、お腹も目立っていたんですが、出産のお話はでていません。ただ、これは僕の記憶がちょっと曖昧なだけかもしれません。再度調べて出てきたら修正します。


さて、次のおめでたは団さんです。団さんのお相手のジュディ・クリスティさんは、59巻2話「対決再開! オーストラリア」で出会います。究極のメニュー側のオーストラリアの道案内をしたのがジュディだったのでした。団さんもジュディもお互い議論好きということで、ずーっと議論をしつづけてたらいつの間にか仲良くなっちゃったというわけです。そして、この二人は67巻6話「新しい家族」で結婚披露宴の招待状をだします。それがなんと2週間後。はい、いわゆるできちゃった結婚という奴です。

68巻1話「噺家の心意気」で、ブラックさんテルエさん夫婦と大石警部とみさ子さん夫婦におめでたが発覚します。山岡さんこのときに「ジュディ、テルエさんと続いてみさ子さんも……なんだか、もっと続きそうだぞ。」とか言っています。いや、そういうもんじゃないかとは思うのですが。

そして68巻2話「猫にちなんだ料理!?」で、中松警部と歌子さん夫婦にもおめでたが発覚。おめでたラッシュにまたまた山岡さんは「まただ! ジュディ、テルエさん、みさ子さん、そして歌子さん! 次にできるのは……」とか言っています。

そういうことを言っている舌の根も乾かない68巻3話「待望の赤ちゃん!!」で、とうとう栗田さんにもおめでた発覚がくるのです。山岡さんの予感は正しかったのでした。

68巻4話「夫の愛、義父の愛……」ではつわりに悩まされる栗田さん。68巻5話「父と子」では、自分は不幸な親子関係しか知らないため、自分も不幸な親子関係を作ってしまうのではないかと苦悩する山岡さん。さらには71巻2話「鮭とマタニティドレス」で、山岡さんは栗田さんがマタニティドレスを着ているのを見て、本当に父親になるんだという現実をつきつけられて愕然とし、そのことが原因で栗田さんと喧嘩をしたりもします。ちなみにこのマタニティドレス騒動は、山岡さんだけではなく、団さん、ブラックさん、中松警部、大石警部も同様でした。そういう様々な危機を、各夫婦は乗り越えていきます。

そして、とうとう73巻5話「海鼠の味わい」で大石警部とみさ子さんの間に女の子が、74巻2話「料理の3原則!?」ではブラさんとテルエさんの間に女の子が、74巻3話「神秘なる椎茸」で団さんとジュディの間に男の子が、同じく74巻3話で中松警部と歌子さんの間に男の子が生まれます。さらにはここで、栗田さんのお腹の中の子は双子だということも発覚したのでした。

そしてとうとう75巻3話「双子誕生!!」で栗田さんが出産するのです! 男の子と女の子の双子でした。75巻5話「命名騒動」において、男の子は陽士、女の子は遊美と名付けられます。


さて、ここで出産のお話は終わりかと思うとそうではありません。95巻2話「焼酎革命」において、栗田さんにまたおめでたが発覚します。そう、陽士くんと遊美ちゃんに弟か妹ができたのです。そして96巻7話「おめでたラッシュ再び!!」において、近城夫婦、ブラック夫婦、中松夫婦、大石夫婦、団夫婦にそれぞれ2人目ができたことが発覚するのです。なんという偶然!

そして次に子供が生まれるのは101巻「親の味・子の心」です。さすがに妊娠に関する騒動はやりつくしたのか、100巻で日本全県味巡り青森編をやって決着がついたあと、翌週にはいきなり生まれていました。あれ、青森編の取材のときに「予定日は2ヶ月先だから大丈夫です」と栗田さんは言って取材についていったのに……

そこで生まれた第三子は遊璃ちゃんです。女の子です。同時に近城夫婦、ブラック夫婦、中松夫婦、大石夫婦、団夫婦にもそれぞれ第二子が誕生しています。

↓これが双子誕生の巻です

美味しんぼ (75) (ビッグコミックス)

美味しんぼ (75) (ビッグコミックス)