料理漫画を研究してます

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エキレビ! ボジョレー記事裏話

今年度のボジョレー・ヌーヴォーの公開にあわせて、こんな記事を書きました。

 

11月17日いよいよ解禁! 今年のボジョレー・ヌーヴォーは「ここ数年で最高」!?
http://www.excite.co.jp/News/reviewgadget/20111116/E1321370294389.html

 

ワインの記事なのにワインのブドウの品種も出てこないしブランドもでてきません。さらには瓶の写真までも出てこないという。そんな通常ではありえない記事なのですが、おかげさまでちょっと好評みたいです。目の付け所がおかしいとか、ワイン詳しい人ほど色々とツッコミいれたい箇所はあるかと思いますが、その辺はお手柔らかにお願いします。

 

で、今回はこの記事の裏話的なものを書いていきたいと思います。

 

そもそもなんでこんな記事を思いついたか。実は、ツール・ド・フランスという毎年7月に3週間かけて行われているフランス全土を一周する自転車ロードレースがきっかけだったりします。僕はこのツール・ド・フランスが大好きで大好きで。7月は毎年レースにかじりつく勢いでテレビの前に釘付けになっていたりします。

 

記事中にも書きましたが2003年というのがきっかけでした。この年はヨーロッパ全土を猛暑が襲った年で、フランスでも万単位で犠牲者が出ていたりします。そして、真夏の7月に行われるツール・ド・フランスも例外ではありませんでした。なんと、レース中に道路のアスファルトが溶けてしまうという事件がおきたのです。それによってベロキという選手がスリップをし、ランス・アームストロングという選手が道なき道を突っ走ることになったりもしました。この辺は自転車ファンだけ「ああ、あの年!」と思い出してください。

 

そんなアスファルトが溶けるような温度(走行中の温度は50度にもなっていたそうです)になっていたというのが、すごく印象に残っていたのですね。さらにフランスがそんなに暑いのだったら、その年のボジョレーはあまりできが良くないんじゃないかと思っていたのです。異常気象なわけですから、異常なときのブドウが美味しくなさそうと思っていたのですよ。そしたらなんと、100年に1度のできというじゃないですか。ここでかなりびっくりしたというわけです。

 

その後で、もしくは知識として今まで読んでいた……僕のことだから料理漫画のソムリエか神の雫かバーテンダーかソムリエールか、はたまた大穴でマスターキートンかは忘れたのですが、そこで「寒暖の差が大きいほどブドウの糖度が上がる」という記述を思い出したのです。そうか! 異常気象で猛暑なときは寒暖の差が大きくなってブドウの糖度があがり、ワインのできは良くなるんだ! と納得したのですね。

 

なので、毎年のようにボジョレーの話題になると僕は「ボジョレーのできが知りたければツール・ド・フランスを見ろ!」と言っていたわけです。7月に行われるツール・ド・フランスで暑そうだったら、その年は期待できるぞ、と。

 

今回エキレビ!の編集会議で何かネタが無い? となったときにそのことを話して、記事を書くことになったのでした。

 

記事を書くにあたってやっぱりネックだったのは、ボジョレー地区の気温をどうやって調べたらいいかわからなかったことです。エキレビ!編集会議でそのことを話したら、近藤正高さんから「理科年表をあたればいいのでは」とアドバイスをいただきました。そこで実際に理科年表を見てみたら、過去の細かいデータは有料だったのですね。さすがにこの記事のために、かなりお高いお金を払って有料会員になるのははばかられました。

 

でも理科年表は大学とかの研究機関に身を置いている人なら見られるかもしれない!! と思い立ち、@hageatamaさんに調べられないか聞いてみました。そうしたら理科年表だけでなく他のところも使って調べてくれたのです。それが、あのエキレビ!に載っていたデータであり、グラフであるというわけです。そうやって、あの記事は誕生したのでした。

 

自分で言うのも何なのですが、多分アプローチ的には間違えていないと思います。でも、まっとうで真摯なワインファンには怒られるかもしれないと思っているのも事実でして。まあでも、こういう観点から見てワインのできを予想するというのも面白いんじゃないかと思いますので、来年もこの辺の観測は続けていきたいと思っています。