HUNTER×HUNTERのNo.351から357までについての考察
ここは料理漫画のブログなんですが、某所向けに書いた原稿のプロトタイプが没になったので、料理漫画以外のことについての漫画記事を載せようかと思います。HUNTER×HUNTERですね。そもそも料理漫画について最近書いていないですし。すみません。
以下は原稿なので、いつものブログの口調とは違ったりもします。
でもって、ネタばらしがたくさんあります。先日発売された単行本33巻ではなく、将来発売されるであろう34巻に収録予定のお話について書いております。なので、単行本派の人は回れ右ということで。
あと、原稿時にはなかったのですが、引用としてコマをいくつか貼ってみました。
というわけで、以下の33巻のAmazonへのリンクを挟んで、原稿(のプロトタイプ)です。
- 作者: 冨樫義博
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/06/03
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (120件) を見る
週刊少年ジャンプ2016年20号(4月18日発売号)より連載を再開した冨樫義博作『HUNTER×HUNTER』。21・22合併号より続いていた話が、28号(6月13日発売号)で急展開を見せる。いったい何故このような展開になったのか、考察してみたい。
なお、本稿ではネタばらしをしているため、単行本派の人はここで読むのをやめるか、単行本34巻が出た際に改めて読んでみて欲しい。
○何が急展開へ至るポイントだったのか
28号(No.357『残念2』)ではヒソカがマチに「旅団全員に伝えてくれる……? 今からどこで誰と遭ってもその場で殺すまで闘るとね」と伝え、本当にコルトピとシャルナークを殺してしまう。それまではクロロにのみ固執していたヒソカが一体なぜこのような行為に及んだのだろうか。
もちろん、負けたことによる逆恨みというか、ストレス解消の可能性もなくはない。だが、28号の219ページで、マチから「これに懲りたら今度からは戦う相手と場所はちゃんと選ぶことだね」と言われた後、ヒソカが奇妙な表情をしていることに注目をしたい。ここでヒソカは、今回の戦いがクロロによって周到に用意された罠だったということに気づいたのではないだろうか。
その罠とは、クロロとの1対1だったはずなのが、クロロと他の旅団員vsヒソカだったというものだ。
○読み返すといくつか不審な点がある
そういう視点で今までの戦いを読み返してみると、いくつか疑問点が出てくる。
まずは21・22合併号(No.351『死闘』)と23号(No.352『厄介』)。クロロがヒソカに対して、能力の説明をしているシーン。説明するのがスタイルという表現をしているが、どう考えても能力は説明をしない方が戦いを有利に運べるのには間違いがない。
(能力の説明を闘い方(スタイル)と言い、勝敗より大事と言う)
そして24号(No.353『冷徹』)では、前回に"携帯する他人の運命(ブラックボイス)"で操られていた二人から、アンテナが消えている。このとき、ヒソカが「釣り糸でも結んでおいて引き寄せたか…」と言っている。
26号(No.355『爆破』)で、今までの戦いからヒソカがクロロの能力の使い方を推測した後、この理屈ならばあと20〜30体くらいかと言っているにも関わらず、200人を超えるコピー人形が襲いかかってきている。
同じく26号では、338ページでクロロが「そうだ。そこでいい。しゃがめ」と指令を携帯で出している。シャルナークの"携帯する他人の運命(ブラックボイス)"の携帯がその直前に描かれているが、そもそもブラックボイスはメールで操作をする能力だ。クロロ自身がNo.351『死闘』で審判を操っているとき、メールの操作をしている。声で命令を出しているのは不自然だ。
○クロロは一人で戦っていなかったのでは
これらの疑問には、クロロは旅団員と戦っていた、と考えるとスッキリする。もちろん最初は"盗賊の極意(スキルハンター)"で盗んだシャルナークの"携帯する他人の運命(ブラックボイス)"と、コルトピの"神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)"を使っていたが、途中で観客席に紛れ込んだ際に二人に能力を返還したのではないか。
クロロが電話で話して指示を与えていたのはシャルナークで、シャルナーク本人がアンテナを指した人を操っていた。もしくは、最初から能力はアンテナだけ(もしくは予備の携帯も)をクロロに渡していたのかもしれない。
200人を超えるコピーはクロロとヒソカが直接やりあっている最中も、コルトピがせっせと作っていた。
釣り糸で引き寄せたか……というのは、マチの念糸だろう。
そして、これら全てをミスリードさせるために、あえてスタイルと称して詳細な能力の説明をしたのではないだろうか。
そうなると、クロロ、マチ、シャルナーク、コルトピがそれぞれ独立して動くことができ、4人vsヒソカとなる。そのことにマチの発言で気づいたヒソカが、除念をして条件が整うまで待ったにも関わらず1対1で戦ってもらえないので、旅団員を皆殺しにすれば1対1でもう一度戦えると判断したのではないだろうか。
『HUNTER×HUNTER』では、過去にも複雑な戦闘があった際にはネタばらし回があった。多分今回の戦いにもあるだろう。単行本には毎回10話分を収録しているので、34巻がクロロとヒソカの戦闘が始まったNo.351『死闘』からだと考えると、あと3回分ある。このあたりで、どう説明されるのか注目したい。
(6月16日追記)
もう一つ疑問点があったので追記。
No.351『死闘』で、クロロは"番いの破壊者"(サンアンドムーン)を使い、"携帯する他人の運命"(ブラックボイス)で操っている審判を爆破している。これは"栞のテーマ"(ダブルフェイス)で能力を同時に使えるということと、両手を使う能力も使えるようになったということのお披露目の意味もあった。
だけども、よくよく考えるとおかしい。
サンアンドムーンを使うためには両手が必要。しかし、戦いが始まってからは一貫してスキルハンター(右手)とブラックボイス(左手)を使っている。ダブルフェイスにはサンアンドムーンが挟み込んであると考えても、ブラックボイスを使って審判で攻撃し続けるためには、常に右手はスキルハンターで本を開いていなければならない。
にも関わらず、両手を使うサンアンドムーンが発動しているということは、P130で審判の影に隠れてから
1.ダブルフェイスでサンアンドムーンを発動
2.本を閉じる(ブラックボイスはこの時点で一度解除される)
3.両手を使ってサンアンドムーンを設置
4.またスキルハンターでブラックボイスを起動し、審判を操る
ぐらいの操作が必要になるはず。そして、爆破後に審判の影から表れたときには本をすでに閉じているので、その後にさらにまた本を閉じてしまう、ということを行ったのだろうか。
もちろん、ブラックボイスで襲わせているときに、本を閉じてサンアンドムーンを発動し、そのまま爆破という単純な線もある。だがその場合、操られているはずの審判が変な動きをするはずで、さすがにそんな瞬間があればヒソカは気づくのではないだろうか。
なので、この時点でクロロが持っていたのはアンテナだけで、実は観客席からシャルナークが操作をしていたという可能性もある。