料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

浅草人 〜あさくさびと〜 壱

「中華一番」シリーズの小川悦司先生が再び料理漫画を! 今度は洋食!
というわけで、下町は浅草を舞台にした料理漫画です。原案は「築地魚河岸三代目」の原案協力の鍋島雅治先生ですね。なんという強力タッグなんでしょう。

主人公の風祭風介は人力車の車夫。でも、実は浅草にこの店有りとうたわれた老舗洋食店「風神軒」の一人息子にして、12歳で父親の料理をマスターした天才少年料理人でした。その昔「風神軒」がクラウン誌から三冠(ミシュランから三つ星のようなもの)を与えられたときに親父さんが常連客に迷惑がかかると返上。そこから逆ギレしたクラウンがお店を徹底的に叩き客足が途絶え、お店は浅草洋食業組合長の傘下へ。再起を図っている途中で親父さんは心労で亡くなり、風介はいつかお店を再興させるべく、人力車の車夫をやりながらお金を貯めているのでした。そこにクラウン誌から記者がやってきて……というお話。

何かしら事件やトラブルがあると風介がシャフからシェフになり、料理を作って解決というオーソドックスなスタイルの料理漫画になります。テーマが浅草で洋食というのがいいですね。作中でも言われていましたが「洋食というのは単なる西洋料理のまねごとじゃない。西洋料理をご飯のおかずにしようと試行錯誤した結果なんだ」というのにグッときました。そうなんですよね。だから洋食はご飯がついていることが多いわけです。

料理を食べたときのリアクションは、さすが小川悦司先生といったところでしょう。掲載誌が少年誌じゃないからか、リアクション内でやたらと脱いでいたりもします。最近話題の線でいくと、食戟のソーマほど露骨ではないですよ、念のため。

今回出てきた料理はハヤシライス、ナポリタン、コンソメスープ、とんかつ、グラタン、ハンバーグ、オムライスです。1話ずつ読み切り連作なので、どこから読んでも楽しめます。今はシリーズ連載ということで次がいつかわからないのですが、楽しみですね。

2013年4月27日発売

浅草人~あさくさびと~(1) (ニチブンコミックス)

浅草人~あさくさびと~(1) (ニチブンコミックス)