料理漫画を研究してます

料理漫画研究家としてのあれこれをここに書いていこうかと思います。 お仕事のご依頼はkei.sugimuraあっとgmail.comまで!

山賊ダイアリー 3巻

マンガ大賞2013にもノミネート(残念ながら大賞はとれず10位タイでした)された話題作の3巻。相変わらず山であれこれ狩りをして、それを美味しそうに料理しています。リアル猟師奮闘記として、なかなか知ることができなかった猟師の世界の裏側なんかを紹介してくれています。これがまた実に面白いのですね。

今回の料理は「鹿刺し」「ブルーギルフライ」「クレソンサラダ」「猪燻製」「カラスのシチュー」など。ここで全国8000万人の山賊ダイアリーファンにお勧めしたいのがcakesのこちらの「リアル山賊ダイアリー」記事です。これはイブニングのコンテンツをcakesに移したものなんですが、岡本先生が猟をする場面が写真で克明に記録されています。あ、生肉とか見るのが苦手な方は要注意です。

そしてこのリアル山賊ダイアリーvol.1で紹介されているのが鹿刺しと雉鳩の燻製。そう、ほぼ3巻で紹介された料理と同じようなものがそのまま写真で出ているのですね(正確には3巻にもハトの燻製でてきます)。なので、あわせて映像とか写真を見ると臨場感がすごいすごい。いやー、それにしても岡本先生、絵とそっくりですね。あ、ちなみに記事の方は2011年11月の映像&写真で、単行本掲載の方は2009年12月なので2年ぐらい差があります。

相変わらず淡々と猟師生活を語っているけどこれがまたとんでもなく面白い希有な作品。いよいよ次巻では2009年度の猟期が大詰めを迎えるそうで、冬が今から楽しみです。

2013年3月22日発売

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

召しませ! お江戸ごはん

「のれんをくぐりましょ」の竹ノ内ひとみさんが漫画を担当した江戸料理本エッセイ。
主人公の「かよ」は料理屋の一人娘。現在茶屋でアルバイト中。もう一人の主人公「小梅」は絵師を目指して師匠のもとで修行中。長屋の隣同士のこの二人が江戸のご飯を紹介していきます。
「のれんをくぐりましょ」と同じように、12話で構成されていて1ヶ月1話のペースですね。江戸の市井の人達の料理を中心に紹介しています。さらには、「作ってみよう! おいしい江戸ごはんレシピ」や「もっとお江戸ごはん」といった今川美玖さんによるエッセイが収録されているので色々と勉強になります。

この本のサブタイトルが日本の健康食再注目コミックエッセイとあるので、江戸料理の中でもヘルシーなものを中心に紹介しているという感じですね。カロリーが低いとかじゃなく、旬を生かした料理という感じでしょうか。レシピが掲載されている玉子ふわふわはそのうち作ってみたいです。

ちなみに余談なんですが、江戸料理はちょっと掘り下げてみたいテーマなんですけれども、結構市井の方々が日常的に何を食べていたかということが中心になっていて、ごちそうがあまり出てこないんですよね。「じゅんさいもん」(2巻の発売を今でも待っていますよ!)ぐらいしか江戸の料亭の料理って出てこない気がします。そういうの出てくれないかなー

2013年3月8日発売

召しませ!  お江戸ごはん 日本の健康食 再注目コミックエッセイ

召しませ! お江戸ごはん 日本の健康食 再注目コミックエッセイ


のれんをくぐりましょ。

のれんをくぐりましょ。


おかゆネコ 1巻

吉田戦車先生の料理漫画になります。え? 吉田戦車先生が料理漫画を?! と思った方。実は吉田戦車先生は料理をよくしていて、「逃避めし」というレシピ本を出したりもしているのです。こちらは締め切りから逃避するために創作料理をしてしまうので、その料理のレシピをまとめてみましたという本ですね。

おかゆネコは、「しゃべり病」という「生き物が突然しゃべりだし知能も人間並みになるということ以外何もわかっていない奇病」にかかったネコ「ツブ」がビール会社の営業「八郎」にさまざまなおかゆを作ってあげるお話です。お話の構成的には、「ぷりぷり県」に近いと言えばわかる方にはわかってもらえるんじゃないでしょうか。あんな感じでシュールなお話とレシピが満載です。

特筆すべきは、作中に出てくる数々のレシピ。ツブは猫舌なのでおかゆの味見をしないのですが、出てくるのは一通り作者が造って味見をしています。普通の料理漫画の場合、実際に造って美味しかったら作品に出すという形をとることが多いと思うのですが、この作品は一味違う。思いついたレシピを描き、後から実際に作って試したりしているのです。例えば「ビールのおかゆ」を食べているシーンで作中の人物が「うーん、どうかなぁ。ツブ君これはどうかな。」「ビール入れすぎだよ!」と言い、囲みには「ビールは半分でよかったです。あ、試さなくていいです(作者)」とか平然と書いてあったりするのですね。レシピが載っている料理漫画で試さなくていいとか作者が言っているのはかなり斬新!

そんな感じでゆるーいシュールな作品ですが、めちゃめちゃ面白いです。

2013年2月28日発売

おかゆネコ 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

おかゆネコ 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

逃避めし

逃避めし

いつかティファニーで朝食を 2巻

朝ごはんをこよなく愛する女性達のオムニバスストーリー第2巻。1巻は「朝食女子はじめました」という印象的な帯コピーだったのですが、今回は「明日の朝なに食べますか?」でした。ちょっと弱いかも?

今回登場のお店は、新宿駅ベルクのモーニング、初台のサンデーベイクショップ、うどんの五反田おにやんま、表参道のたまな食堂、六厘舎TOKYOの朝つけめん、小竹向原のまちのパーラーですね。さらに巻末には朝時間.jpによるみんなの朝食レシピまで載っています。というか、朝ご飯ってすごいなんというか、こんなに大きなポータルサイトができるジャンルだったのですね……すみません。朝時間を有効に活用する人達が起きる時間に寝るような生活で。

それはさておき、今回も恋に仕事に子育てに、それぞれちょっとずつ前進していくという感じです。作中でFacebookTwitterを駆使しているのも現代的でいいですね。今年こそはここに載っているお店に朝ご飯食べに行きたいものです(ベルクはよく行きますが、夜にお酒飲みに行くので……)

2013年3月9日発売

いつかティファニーで朝食を  2 (バンチコミックス)

いつかティファニーで朝食を 2 (バンチコミックス)

まかない君

西川魯介先生の料理漫画。あとがきにもありましたが、 クトゥルフとか軍事関係やらを封印した飛車角落ちの、ごくごく普通の、そして上質の料理漫画です。あ、登場人物のメガネ率は75%です。

主人公の浩平君は大学進学を機に上京。年上の従姉妹達の家に居候をすることになります。でも、従姉妹の三姉妹はみんな料理が得意ではありません。かくして、実家でも料理をしていた浩平君が料理を担当することになり、一家に一台的な「まかない君」となったのでした。

出てくる料理は実際に西川先生が作ったものばかりだそうです。確かに、お手軽かつ実践的な料理が多いかな。

西川先生らしさは、細かいギャグの応酬や、食事シーンのそこはかとないフェチっぽさでしょうか。細かいギャグというか会話の端々のマニアックさはさすがと言ったところでしょう。食事シーンはでも、フェチというよりは年上の女性が食べるシーンに見惚れてしまう思春期っぽさがよく出ている感じです。過剰なお色気にしていないところがいいですね。

これで完結してしまったのかと思いきや、公式ページには第二シーズン製作中とあったので、期待して待ちたいところです。

2013年2月28日発売

まかない君 (ジェッツコミックス)

まかない君 (ジェッツコミックス)

くーねるまるた 1巻

ポルトガルからきたマルタさんは、留学で来た日本にそのまま住み着いちゃいます。築70年のアパートで、自由にきままな生活を満喫中。ちょっとビンボーだけど食いしんぼーな女の子なので、慎ましくもエンゲル係数高めの暮らしをしているのです。というお話です。

マルタさん、いいキャラですね。パンの耳でエッグタルトを作ったり、こっそりラーメン屋に自家製のチャーシューを持ち込もうとしてみたり。個人的には第一話で登場した干し鱈(バカリャウ)が、ちょうど信長のシェフでポルトガル人宣教師に涙を流させたのを思い出しておおおとか思っていたりしました。ちなみにこの第一話はベランダで水着で水を張ったたらいに足を突っ込んで涼を得ているところにバカリャウが届いたので、あまりのうれしさに配達人の人と踊っちゃったりします。

ちなみにタイトルのくーねるまるたはマルタさんの本名からきています。マリア・マルタ・クウネル・グロソというのですね。ポルトガル人の姓名は洗礼名、名前、母方の姓、父方の姓になるんだとか。作中でそれを聞いたおばあさんが、面倒なので「食う寝るマルタ!」と決めつけたところからのタイトルになります。

あとあれです。オイルサーディンの缶詰は賞味期限切れの方が美味しいということをこの作品で初めて知りました。鰯にオイルがしみて美味しくなるとか。探したいけど、お店に賞味期限切れの缶詰って無いだろうなあ……

くーねるまるた 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

くーねるまるた 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

クッキングパパ 122巻

料理って楽しいんですよー!!

今回のクッキングパパは1巻ほぼ丸ごとタイ編です。タイから帰ってきた後はタイのお土産を振る舞う話があったりもして、収録10話中8話がタイに関連したお話でした。ちなみに冒頭の1行目はクッキングパパの単行本の著者コメントの1行目から引用させていただきました。122巻今まで全てこの言葉から始まります。

今回ちょっと作ってみたいと思ったのはカノムクロックでしょうか。たこ焼き器っぽいもので作られるタイのB級スイーツだそうです。いやー先日たこ焼き焼き器をいただいたので、ちょっと使いたくてしょうが無いのですね。

料理漫画って楽しいんですよー!!

2013年1月23日発売

クッキングパパ(122) (モーニング KC)

クッキングパパ(122) (モーニング KC)