花と奥たん 2巻
高橋しん先生の料理漫画2巻目です。1巻が2009年発売ですから、4年ぶりの新刊ですね。いやー、待ちました。待ったかいがありました!
このお話は、ファンタジーというかSFというか。世界は近未来の日本なのですが、あるとき急に東京が巨大な花に覆われてしまいます。もうそのときに東京にいた人は生存が絶望視されています。でも、東京近郊の人は、中でまだ生きていると信じて、避難命令が出ている家に残り、待ち続けるのです。そんな「残され主婦」の奥たんが、旦那たんがある日東京から帰ってくるのを待ちながら毎日旦那たんのご飯を作り、野菜を作り、米を作り、バッタと戦い、孤独と戦う。そんな毎日を描いた作品です。
というわけで、かなりハードボイルドな設定の料理漫画なのですね。近所の同じような「残され主婦」の人達も、ひとり、またひとりと耐えられずに田舎へ帰っていったりしてしまいます。でも奥たんは前向きに、旦那たんを信じて生きていくのです。
作中では東京の巨大花の影響か、奥たんが育てたりする野菜がすごく巨大になってしまったりしているのですが、各話ごとに載っているレシピは普通の野菜とかで大丈夫です。料理は実際に高橋しん先生が作って食べてみたものとのこと。いやー、これがまた美味しそうなんですよ。でも、物語の語り手が奥たんが飼っているミニウサギのPたんなので、レシピページの説明もふわふわした曖昧なものになっていたりします。例えばこんな感じです。
ミネス…と?…ロー……長くてよく覚えていないのです!!
パンチェッタを2cmくらいの長さに切りました。ズッキーニ、
セロリ、にんじん、パプリカも愛情込めて小さくカットよろしくお願いしますよ!
玉ネギはウサギに毒なので憎しみ深く粗く!みじん切りに。
きちんと順番に読めば料理ができあがるのですが、ちょっとレシピとしては斬新なスタイルですよね。
この本は、是非ブックカバー派の人もブックカバーを外して読んで欲しいです。それぐらい、表紙が凝っています。エンボス加工の美しさ。そしてカラーページの豊富さ。作中にもカラーページはたくさん出てきますし、レシピページはカラーで、イラストや写真がふんだんに使われています。細部にまで気を配った造本なのですね。
ほんわかした日常生活の料理漫画でありながら、「生きる」ということはどういうことなのか真剣に考えさせる、ハードな世界観が見事に融合した作品です。願わくば早く続きが出てくれるといいんですが、とても膨大な時間をかけて作っているとのことで、気長にまた何年でも待つことにします。
2013年3月29日発売
- 作者: 高橋しん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: コミック
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- 作者: 高橋しん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/04/30
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